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イントロダクション

 『豊島 MEETING ART in 片山邸』の成り立ちを語る上で、2011年11月に兵庫県尼崎市にて行われた、

『AMA - Art Meets Amagasaki』という展覧会の存在が大きいことをこの場をお借りして提示させていただきます。

 本展へのイントロダクションとして、『AMA』展、豊島、片山邸についてご説明し、私たちの活動の原動力、根源をお伝えできればと思います。

旧尼崎警察署との出会い

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  通称「あま」と呼ばれる兵庫県尼崎市は、華やかな商店街、立ち並ぶ工場、行き交う人びと…それらが混在しながら、永きにわたり独特の文化を築き上げてきたという歴史ある土地だ。

  阪神尼崎駅から南西部(城内地区)に位置する旧尼崎警察署は、大正 15 年〜昭和 45年まで警察署として使用され、そののち市役所出張所、児童館として多くの市民に利用され親しまれた。内部は、当時の建築様式をありのままに伝える実在の資料として、貴重な点を多く有している。とりわけ、地下の留置所跡には、かつての重く生々しい空気が残る一方で、児童館跡では、子どもたちの戯れる朗らかな光景が想起される。

  しかし、阪神・淡路大震災の影響による使用休止以後、手つかずのまま放置されたことで、廃墟として地域の住民からも距離を置かれてゆく。

  建物内にはいくつもの時代と、多くの人びとが刻み込んでいった様々な痕跡が存在していた。

『AMA』展とは?

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  『AMA - Art Meets Amagasaki』展では、「廃墟から再生」というテーマを掲げ、12名の関西を中心に活動する若手アーティストたちが独自の自由な発想力を活かした表現で空間との融合を試みた。

  署内での1日の行程表や壁に残る引っ掻き傷や数字と升目、呪文のような言葉など、かつての生々しい空気が残る埃っぽい地下の留置所跡、あたたかな柔らかい光が差し込み、子どもたちが元気いっぱいに遊んでいた光景が思い浮かぶ1Fの児童館跡など、時の流れと共に、多くの人びとが刻み込んでいった様々な痕跡に「アート」をぶつけるのだ。

  若きアーティストたちは、その土地の歴史や建物に内在する時間、そこに住む人々との交流を経て、それぞれのリサーチや方法論を用いて、作品をつくり出した。表層に埋もれてしまっていた、あるいは、隠れたようになってしまった真実へ近づくひとつのきっかけとして、アートを活用したのである。本展のテーマである「廃墟から再生」は、さまざまな“出会い”や“対話”から生じる新たな創造による産物であろう。

豊島×片山邸×アート

 

「豊島でAMAに続くような展覧会ができないか?」

 

  そんな呼びかけに、大半の元メンバーは積極的であった。さらに、AMA展の盛況ぶりを聞きつけた新メンバーが数名加入し、最初の実行委員が構成された。「ハイレベルなアート作品が集中する豊島で、ボクたちに何ができるのだろう?」「島の内外に対して、果たしてどういった提案をすべきだろう?」それらを考えるためには豊島をより深く知らねばならないと、何度も何度も足を運んだ。

  島民の方々との出会いや対話を通して交流するうちに、「豊島とアートの未来について考えよう。という思いが強まっていくのを感じた。

  私たちは、『豊島 MEETING 2013 - ART in 片山邸』が、アートに関心を寄せる若い人びとと、元来豊島に生きる人びととの、より良い架け橋となること、そして、この“MEETING”が、より多くの人びとにとっての“場”となって発展していくことを望む。

合い言葉は「豊島で会おう、豊島に集まろう」だ

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